written by カヨコさま




  <注意>
 このお話はオリキャラ(実存する人間がモデル?)が登場する
内輪ネタ臭漂う“究極のオフレコバナシ”
 となっております。そういうのを笑って許して頂ける方のみ、お読み下さい。宜しくお願いします。




















某テレビ局、廊下をスキップしている阿呆なADがいる。

彼の名前は 薊 嘉代乃介
あざみかよのすけ、と読む。
奇怪な名前である。彼は福岡の片田舎に住んでいた。
一人娘である母、そして一人息子の父。
封建的な考え方の両家は、孫の名前をつけるのに、大変苦心した。

両家には古いしきたりがあった。
直系男子に対し、母方は祖父の名を付けること、父方は必ず嘉という文字を使うこと。

喧々諤々の論議が交わされた。

そして、長時間の論争の果てに彼の名は出来たのだ。

単純に祖父の名、代之介と嘉をドッキングしただけだが。

意味としても、喜ばしき人生になりますように、薊が反映しますように。

であるから、結構いい名前だと、大団円。

大団円を迎えても嘉代之介の人生は始まったばかり。
お洒落な名前の多い現代において意味が良くてもアナログな名前。
子供にしてはいい迷惑である。
この変な名前のせいで、ずっといじめられ続けた。
翔だの、遼だの、晃だのにいじめられた。
テストのときは1人だけ名前を書く時間が長かった。
結果少年の心は捻じ曲がっていた。

しかしグレる根性も無く、小心者。
「俺はビッグになってやる」夢だけ一人前の少年はとりあえず東京にでてきてみた・・・


どこまで人生とは皮肉なものだろうか。

出かけるとき鍵の掛けない地域に住む彼は危機管理能力に乏しい。
東京駅について、10分後に財布をすられ、初日で行き倒れた。
公園に寝泊りするも、いまいちホームレスのしきたりも分からず鼻つまみ者にされた。
食料はつき、死にそうになったとき、女神光臨。
霞んだ視界にガーナが入ってくる。
目を開けると太陽を背にし、身なりの良い女性がいる・・・

運命の出会いだった(と嘉代乃介は信じきっている)

それが嘉代乃介をADとして働かせてくれているこのテレビ局のチーフプロデューサー小野恵子、
通称おけいさん、である。
嘉代乃介はロ○ヤルホストでロコモコ丼をおごってもらって以来、ずっとおけいさんを慕っている。

おけいさんのことを思えば、たとい自分よりはるかに年下の熊本出身の女優に
牛乳じゃなきゃダメなのよ!!と熱い緑茶を掛けられても我慢できるのだった・・・・


薊嘉代乃介というのも明朝体で見るとクドイ。これから彼のことをAD Kと呼ぼう。

この日は珍しく、多忙なおけいさんに会えたので、心も弾む、足も弾む・・・てなもんであった。

その夢見心地により彼は女性自身やフライデーよりも早く、とんでもない芸能スクープを知ることになる。



時計を見るとちょうど1時。
今日のゲスト、北島マヤにスタジオ入りを促さなくてはならない。
北島マヤといえば、今をときめく新進気鋭の女優である。

紅天女という伝説の舞台が数十年ぶりに解禁され、ベルサイユのバラ以来の、舞台による
社会現象を引き起こした。

まだ見に行ったことはないが、来年の春公演には是非、おけいさんと見に行きたいな・・・
そして、暗闇の中、泣いているおけいさんの肩を抱くんだ。




抱いてやるのだ・・・・




抱くという言葉によからぬ妄想をしてしまうAD K。

妄想がR18に差し掛かる前に、北島マヤのネームプレートが眼に入った。

もう一度名前を確認して、扉をノックする。

今日は少しリズミカルに・・・。
くだらないことにこだわるAD K

コンコンココン
・ ・・・
ココンコンコン
・ ・・・・
返事はない。

「いないのかな・・・・」

しばらく他の雑用をこなし、もう一度扉の前で待っている。
時計に目をやると、あと十五分で、北島マヤの出番である。

「きたじまさ〜〜〜ん」

扉に耳をやるが、音がしない。

「北島さん・・・?」
そっと扉を開けると、中で、マヤは眠っていた。

その寝顔は可愛いが、服はなぜかユニ○ロのホームウェアで。
今日の衣装がハンガーラックに、ビニールを掛けられたままぶら下がっている。

しかもすっぴん。(メイクしなくてもいけるかもしんない)

AD Kの頭の中はバミューダ海域となる。

魔の三角地帯。浮かんだ考えが、すべて呑み込まれる。つまり、大混乱しているのだ。

今日の収録は、おけいさんが力を入れているのに・・・ゴールデンで、しかも北島マヤは次の
仕事が入っている。この期を逃せば収録がいつになるのか分からない。

視聴者の期待も高い・・・

俺のせいでおけいさんが!!!

はっと我に返るとマヤの体を揺さぶる。
「北島さん、北島さん・・・・!!!」

悲愴な面持ちは八甲田山さながらである。

[はああい・・・・]

北島マヤは、寝ぼけ眼をこすりながら掠れた声で返事をした。
間近で見る北島マヤは可愛い。テレビで見るより華奢で黒髪からはえもいわれぬパッフュメが・・・・

ああ!!そんなことをしている場合ではないのに!

している場合ではないくせにしてしまうあたり、詰めが甘い人柄がにじみ出ている。

頭を一遍壁にぶつけて、理性を飛ばし、血を流しながらAD Kは叫んだ。

「後五分で出番ですよ!」

「えっ!」
マヤが時計を見る。もう時間はない。
今度はマヤの顔が青のグラデーションを描く。


「きゃぁぁぁ、どうしよう、なんで速水さ・・・社長起こしてくれないのよぉ〜〜」

AD Kは二枚目の社長を心の中で罵倒する。

速水社長が来てたのか??来てたんなら、起こしていってくれ!しっかりしてください!!そんなんだ
から八年間片思いなんですよ!


おっと最後の一行は作者の叫びである。失敬。


衣装をむんずと捕まえるとマヤはトレーナーを脱ぎだした。
それを見守るAD K。流石のマヤも閉口した。
見守ってどうする。
「着替えるから、ちょっとあっち向いててくれます?」
なんて無防備な・・・普通出て行ってもらうのが筋だというのに。パニックMAXの二人は
そんな気遣いすら無かった。
「は、はい!!」
Kは帽子を外し、ドアの方を向いた。
今後ろで北島マヤが脱いでる・・・
さなぎから羽化する蝶のように、ユニ○ロのホームウェアを脱いでるんだ・・・
雑誌で胸の開いたときの取材じゃ、結構胸大きかったよなあ・・・・
下らない妄想に耽り、鼻の下と目じりが下がっている。

こんなことしてる場合じゃないと壁に頭までぶつけたというのに何の反省もないのかお前。

いかんいかん!!今は仕事なんだ!!

そうだ。今仕事中なんだ。集中したまえ。
私が速水真澄ならこういっている。





「やだ!!あがんない・・・・」

ガチャガチャと音がする。多分、ワンピースのファスナーがあがらないのだろう。

焦っているので、中々うまくいかない。

手がすべり、力を入れれば入れるほど、すぐに指が離れてしまう。
「どうしたんですか?」
もう時間がない。そう判断した彼は、振り返った。
「背中のファスナーが上がらないの・・・」
困ったように、顔だけをこちらに向ける北島マヤ。
背中はあらわとなっている。ADKは生唾を飲んだ。なんて綺麗な背中なんだ・・・・
舐めるように視線を下に流す。


ぎょっとした。 

ファスナーの起点近くに、あざの様なものがある。
キスマークだった。


誰だ?相手は??

北島マヤが高校生アイドルだった頃、彼はファンクラブに入っていた。
高校生のころは可憐だったのに・・・もうオトナになったんだなぁ・・・


。.゜.(ノД`).゜.。

ちょっと涙目になる。


だ!!

ちがう!今はこっちじゃない!

気合を入れて、自分を取り戻し、顔をたたく。

「俺、上げます。」

白い背中にぐらっと理性が傾きつつ、マヤの背後に回り、深呼吸をして、金具に手を掛ける。

「では失礼します。」

金具がきしむ。
予想以上に固い。
服を咬んでいないのに、上がらないのである。
くっ・・・・
一遍顔を歪ませて、Kは本宮ひろし調にメタモルフォーゼする。
「とおりゃぁぁ!!!」
中高と卓球部で鍛えた腕力をフルスロットルで発揮する。

777!!


ジャアアアアア・・・

結果はスリーセブン。
金具がマヤのうなじまで上がった!!

「あがった・・・」
二人は安堵の色を浮かべた。


安心したAD Kが手を付くと、固いものに手が当たる。

ゴンっ☆

触れたのは缶ジュースだった。
幸い衣装には掛からなかったが、マヤの白い手に係り、しみが広がってく。
「あ゛っ・・・・」
「す、すみません、すみません・・・・」
いまだ慌てているKはティッシュを手に取り、慌てて拭き取る。マヤが邪魔にならないように体を捩る。
ちょっと妙な体制になったマヤの背中で、眠れる獅子が目を覚ます。別名ジッパーの金具。
ゆっくりと頭をもたげ、獅子は咆哮し、白い大地を駆け下りた。

ジャーっ・・(咆哮)

後ろのレジスタンスにマヤが気付くいたときにはもう、遅かった。

「あ、ファスナーが・・・」

「えっ・・・」

暴れん坊の金具は彼の苦労など知らず起点に綺麗に戻っていた。

思わずネピアの箱を握りつぶす。
彼のバックに闘志が燃え、顔を上げればケンシロウであった。


あああ!!時間がない!!!!!

ライオンとまた対決すべく、もう一度背後に回り、ひざ立ちになる。
バランスを崩し、目の前に雪原の大地が現れた。

だらしなく着ているジーンズの裾をふんずけて、マヤの上に倒れてしまった。

「いたっ」

華奢な肩が露となり、足をもぞもぞさせて抜け出そうとするが、見とれているKは動かない。

「うわ、大丈夫ですか・・・」

漸く潤んだ瞳に気が付き、体を起こそうとする・・・急に動けなくなった。


背中からすーーーーっと霊気が走る。
黄泉の空気が楽屋を包んだ。

振り返ると、鬼がいた。
もとい大都芸能の鬼社長。
般若のような面で睨み付けている。

八年間の片思い地獄から這い上がった仕事の鬼は権力という金棒片手にゆらり、と
Kの近くに寄ってくる。

ぽかん、と身動きせず、真澄をながめる二人。

マヤは床に這うような状態で、抜け出そうとしたため、足がKの足に絡んでいる。髪は乱れ、息は荒く、
ワンピースが肩からずり落ち、半裸状態だ。

KのほうはKの方で、身を捩るマヤの上に倒れこみ、彼女の腰あたりを抱いて、
背中に口付けでもしそうな勢いで、顔を近づけている。

二人の周りには、ティッシュの花が散らばっている。

嫉妬という呪怨がきいいいんと響く。
今ぴったりなBGMは天城越えであろう。



「・・・・・・・・・・・・・・・何してんだ・・・・・。」

マヤとKが目を会わせる。
二人は漸くその体制に気がつき、弾かれたように身を放す。

黒い瘴気と化した真澄が二人の間にねじ入りマヤをぎろりと睨む。

「君は女優なんだから、もっとしっかりしなさい。」

マヤは知らなかった。
目の前にある顔よりも、背中の方に般若の面が付いていることを。

AD Kは震えが止まらなかった。

こ、殺される・・・

真澄の剣幕に慄いたマヤが何も言わないので、真澄は余計誤解した。
油を注がれた怒りの炎が天井を焦がす。


振り向きざまに速水真澄はKの胸元を乱暴に引っ張り、足が付かないほど持ち上げる。

どうすれば良いのか一介のADであるKがこの状況を打開する方法が分かるだろうか?

否、分かるはずはない。

「すみません、いや、違うんです、そんな破廉恥なことしようとしてませんよ!!!!」

AD Kはボーリング装置で墓穴を掘った。

慌てている人間の思考回路は自己防衛のための能力に多少欠けてしまうらしい。

それを受けた速水真澄によって。

Kの脳裏におけいさんとロコモコ丼が翻った・・・・










      暗転・・・・










「速水さん、殴ったりして・・・」
移動中の車内では、真澄がつーんとすねている。
大人の癖に、子供のようなすね方をする男である。
「・・・・・。」
反省もしていない。
マヤの上になっていいのは(ときどきマヤが上になるけど)俺だけだ!!
「もう、誤解だったら。機嫌直して下さい。」
マヤが助手席からせがむ。
真澄は運転に集中する。
「・・・・・・・。」
なおも答えない。
例え浮気じゃなくってもマヤの肌なんか見せたくないし、ましてや上になるなんて許せないのだ。
マヤが仕事でラブシーンを受けるときですら、机の下で拳を握り、歯を食いしばって我慢しているのに・・・
「・・・・・・。」
信号が赤に変わる。

真澄が文句の一つでも言おうと、横を向くと出先をくじいてマヤが真澄の首に手を回し、
キスをした。・ ・・・!!

マヤからキスをされるのは初めてである。

マヤはそのまま瞳を覗き込んで、はにかんだ。
黒髪がさらりと肩にかかる。
「機嫌、直りました?」
「まだ足りないな・・・・」
(一体どこで覚えてきたんだ、こんなこと・・・。)
ちょっと心配になりながら、真澄はもう一度深く、口付けた。





さて、そのころ。
間男疑惑のもたれたKの眼前にはプラダのパンプス。
AD Kは正座しておけいさんの説教を受けている。
「まったく、しっかりしてよね、カヨ。」

多忙なスケジュールをこなす北島マヤを気遣い、速水社長が次の仕事をキャンセルしていた。
その分、寝かせるつもりだったらしい。マヤもそれを今朝聞かされていたのだがKに起こされたときは
すっかり失念していた。

人情派テレビマンのおけいさんはそのことを快諾。
その事情を今朝、おけいさんがKに説明していたのだが、Kときたら、夢見心地だったもので話を
一ミクロンも聞いていなかった。

「はぁ・・・すみません・・・・。」
腫れた頬をさする。さすりながら、ポーカーフェイスで有名な速水の、恐ろしい顔を思い出した。
表情は余り変わらなかったが、目が鋭く、明らかに、嫉妬に燃えていた。
それにしても殴ること無いよな・・・・
なんで、殴られたんだろう。
ていうか、あの人すっごく怒ってたよなぁ・・・
まるで、浮気現場に居合わせた、彼氏みたいだった・・・・
ていうか、なんで速水社長がいるんだ?
なんでマネージャーじゃなく、速水社長が来たんだろう?
確か今、鷹宮グループとの提携が決裂して大変なんじゃなかったっけ??

もしかして、あの二人・・・・・。


付き合ってんの???


ここに心あらず、目は口ほどにものを言う。
ぐるぐると変化し、別のことを考えてるのが丸分かりである。
おけいさんはため息をついて、前髪をかき上げた。
「ちょっと、聞いているの?話聞いてなかったから、社長に殴られちゃったのよ。」
プロ意識の足りなさを恥じながら、Kはおけいさんにもう一度意識を戻す。
「ああ、ごめんなさい。聞いてます、聞いてます。」
ほっぺた痛いし、今日は散々だったな。
しかし、見上げれば、おけいさんがいる。このままだと、飲みにつれてってもらえそうだ。

こうやっておけいさんと一緒にいられるなんて、幸せだなぁ・・・俺。
Kはおけいさんの話を聞きながらじっとその顔を見つめていた。

なんだかんだいって幸せなやつAD Kであった。





<END>










           <カヨコさんからのコメント>
         この話は本当に自己満足小説(すんません、すんません)なので、公の場
         ラブクロサロン(笑)でアップしてもらっていいのかな〜?
         ただ単に“カヨ”と名の付くキャラとマヤちゃんを絡ませたかっただけなんで・・・
         ついでにキャリア美女(おけいさんモデル)にも絡みたかった・・・
         至らない点は目に付くかと思いますがどうかご容赦くださいませ。書いてる間
         は本当に楽しかったですヾ(´▽`*)ゝ 
         今回もまた素敵なお箱をご用意してくれたおけいさん。ありがとうございます!!
         あのブラックオックスはKを殴る直前の真澄様だと思います(笑

         読んでくださってありがとうございました〜〜♪





           *********************************************************





         このお話が送られてきたのは実は9月下旬で…そう、誕マスのお土産本原稿で
         アタシがちょうど「ギャース!!」と発狂していた頃でした(笑)
         “究極のオフレコバナシ”と前置きがあり、“息抜きにドゾ♪”とまであるワケで。
         えぇ、しっかり息抜かせて頂きましたよ!!床に転げまわって笑ってしまった。
         カヨコさんには本当、お見舞い的なカンジで色々とお気遣いしてもらって感謝
         しどうしです!ホントにマジでありがとう!←日本語おかしいから…
         しかし今回は“素材選び”に大変苦労しました(笑)ご本人にUPの許可を貰った
         は良いものの、ロコモコ丼のイメージが強すぎて…ひっちゃきで探しましたが無か
         ったよ、ロコモコ丼の素材。。。あるワケねぇ〜よな(笑)
         そんな中、出会った鉄人28号。見た瞬間、カヨコーゼの言うとおり“暗転…”前の
         イメージに「はい、来た〜〜!!」と雄叫びを上げてしまいました(笑)

         そしてそして…ナント!カヨコさん自らが描いたAD Kとおけいさん(何かこそばゆい)
         のイラストもUP許可頂いております!!!えぇ、コチラをご覧頂いてから、もう一度
         楽しむものまたオツかと…
         カヨコーゼ、今回は色々といっぱいありがとう!!そしてこれからも4649!!!(笑)




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